Winny裁判

私が時々ウォッチしている「ジャーナリストの視点」の佐々木俊尚氏が, Winny裁判についてコラムを書いていた。Winny事件の経緯と論点が非常に良くまとまっていたのでトラックバックし, 私の意見も書いてみたい。

この金子勇氏に対するWinny裁判について, 私の意見は結局 次のとおり。

  1. 原則として 道具(ソフトウェア)を作ったから, 設計したからという理由で処罰されるべきではない。
  2. 原則として 当人がどのような思想・意見を持っているからという理由で処罰されるべきではない。

私は Winnyを使ったことが無いし, 現在の法律で守られている著作者の権利を無視したユーザーが処罰されることは 当然だと思っている。

しかし, 違法な用途に使用できる道具を作ったからという理由で刑事罰が下されるような社会は, 問題が多いと考える。村井純氏が証言したという以下の言葉にまったく 同意である。

検察官から「あなたはWinnyがどのような目的で使われていたと認識しているのですか?」と聞かれ、こう答えている。  「利用の仕方はいろいろあるが、それは電話をどのように使うのかということと同じです。要するに、さまざまな目的で使われるようにすることがインフラの目的なのです。Winnyの利用者からどう利用しているのかを私は聞いたことはないので、わかりません」

もちろん, 社会的な影響の大きさを考慮し あらかじめ 銃の所持を規制したり 爆発物の取り扱いを規制することは, すでになされているし 私も容認する。しかし, 著作権にまつわる事件は それらと同列だろうか?(いや, 違う という反語)

もうひとつ, 佐々木氏も指摘しているように "犯罪幇助の意図"も 焦点の一つになっている。

つまり先ほどの「刃物」の例でいえば、「人を殺そうとしている殺人者の集団を目の前にして、彼らに『この刃物なら絶対にばれずに人を殺せる』と特殊な刃物を差し出す」という行為をとった場合はどうか。刃物そのものについては罪はないとしても、配布行為には問題はないのか。

上記の例ならば"幇助"と呼べるかもしれないが, ちょっとアレンジした例として, 「この包丁を拾った誰かは 人が殺せる」と思いながら 道路上に包丁を捨てたことは, その後発生した殺人事件の幇助になるのか? 一般的な感覚として, 違和感を覚えないか? 私にとって 2ch上のやりとりは, 後方の感覚に近い。

著作権にまつわる 意見として金子氏のP2P技術が出てきたことで著作権などの従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入しているのだと思います。お上の圧力で規制するというのも1つの手ですが、技術的に可能であれば、誰かがこの壁に穴あけてしまって後ろに戻れなくなるはず。最終的には崩れるだけで、将来的には今とは別の著作権の概念が必要になると思います。という意見に 私も同意する(だから, 現在の法律に 違反してよいと思っているわけではない)。私が, たまたま 金子氏のようなP2Pソフトウェアを作る能力と行動力をもっていたら, 金子氏と同じ考えを持っているのだから 逮捕されてしかるべきということだろうか?

そのような 判断が下される社会になるとしたら, かなり 違和感を覚えるのである。

余談だが, このWinny裁判に対して ソフトウェア開発者側の立場に立つ人々は 私と同様の感覚の人が多いに違いないと感じていたが, スラッシュドットJをはじめとした いくつかの掲示板, ML では, 金子氏に批判的な意見が目立った。 私には 意外であった。

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このページは、buchiが2006年7月16日 08:51に書いたブログ記事です。

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